ステンレスフレームキッチンが施工されるまでを解説!~マンションリノベ現場レポート@世田谷・砧~

東京・世田谷区マンションリノベーション現場レポート~ステンレスフレームキッチンが納まるまで~

本日は先日完工しました世田谷区のマンションリノベーションの現場レポートを、建築施工課・杉本がお贈りいたします。
古材風の足場板でアクセントをつけた壁とステンレスフレームキッチンが程よく調和したミックス空間です。

今回はこのステンレスキッチンの設置された場を中心に解体~完工までをレポートしながら、実際にリノベーションを施工する上で気を付けていることや、今後リノベをやろうかと検討されている方にぜひ知っていてほしいことについて紹介していきます。

それではまずは今回の物件情報です。

・東京都世田谷区マンション
・築21年 RC構造
・専有面積約66平米 3LDK
・総工事費400万前後
・5人家族(お子さんが3人)

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「解体工事」の前には出来るだけ入念な打合せ・段取りを

東京・世田谷区マンションリノベーション現場レポート~ステンレスフレームキッチンが納まるまで~写真1

今回ご紹介するマンションは、全て解体するフルスケルトンとは違い、既存を活かしていくリノベーションです。
ですので、どこを残して(どこを壊して)何をつくるのかがはっきりしていないといけません。
「解体工事」の前に入念な打ち合わせ・段取りを行いますが、もしそれが不十分だと、解体した後に、

「またここも壊してください。。。」(お客様)
「ここが壊れていない分ここが進まないよ。。。」(解体業者さん)

といったケースに陥ることもあります。

「え? 解体工事って全部決まってから取り掛かるんじゃないの?」

という声が聞こえてきそうですが、お客様の住み始めの事情などにより、その他の打合せと平行して解体を進める場合もあります。
「どこを解体し何をつくるか」というのがちゃんと決まっている段階であれば、それらをもとに、先行して解体の手配を始めます。

とにかく「決まっていないと進められないこと・決まっていなくても進められること」という点が大事というわけですね(詳細は後述します)。

とはいえ、言い換えれば、「工期に関わる変更と工期に関わらない変更」があるということでもありますので、やはり解体前の打合せは入念に行うことをお勧めします。

工程が何やら遅れているように見えると、依頼されているお客様もストレスや不安を感じてしまいますよね。
「へえなるほど。そういった事情によっても変わるんだ」と打合せもスムーズに進みますね!

コンセントはどこから出す? スイッチの位置は?「キッチンの配管・電気設備の配線」

解体後にやることは、「給排水の配管・電気設備の配線」です。
具体的にはどこにコンセントを付けるかを考えたり、キッチンの排気をどこに逃がすかといったことで、洗面台、トイレ、ユニットバスなどの位置は解体途中までに確定させ、現地に位置を記しておかないと後々難しくなってきます。
(位置を記すことを「墨出し」といいます。詳しくはこちらの記事も合わせてご覧ください。)

コンセントはどこから出すことにしますか?(PC作業はどこで行う? テレビはどこに置く?)
スイッチの位置はどうしますか?(廊下の灯りは玄関側と居室側?)

などといったことにも注意を払いながら、現場監督は設計チームやお施主様と確認を行うように心掛けています。

ではその先行配管を今回のステンレスキッチンの施工で具体的に見るとこのようになります。

東京・世田谷区マンションリノベーション現場レポート~ステンレスフレームキッチンが納まるまで~写真2

解体後すぐの状態なので壁はむき出しですが、
ここにキッチンを据え付けることが決まっているので、先立って排気ダクトを引っ張ってきています。

換気扇には電気も必要ですね。
配線も引っ張ってくると、

東京・世田谷区マンションリノベーション現場レポート~ステンレスフレームキッチンが納まるまで~写真3

このようになりました。

仕上がった壁を見るだけでは壁の内側に何が通っているのか、どんな壁の立ち方をしているのか、はわかりづらいと思います。
こうやって事前に配線・配管が成された上で壁などができているのがお分かりいただけたでしょうか。

もし壁がきれいに仕上がったあとに、
「やっぱりここにコンセントが欲しい!」
ということになると、またその部分だけ解体することになってしまいます。

細かい設備関係は見落としがちですが、そんなことが無いようにしっかりと決めることをお勧めします。

ちなみに、先ほどの配管、配線を引っ張った上で、キッチンが完成するとこのようになります。

シルバーのフレームがかっこいいですね!
キッチンレンジフードの配管・配線はもちろん、その左隣の電球の下準備として、先ほどの配線作業が不可欠になってきます。

壁にモノを固定するためには実は「下地」が不可欠

配管、配線の次にやることは「下地」です。
皆さんのご自宅の壁にも棚や階段の手摺、トイレットペーパーのホルダーなどがねじで固定されていると思いますが、これらの内側には「下地」が存在しています。

「下地」とはモノを壁にビス(ねじ)で止めるときに必ず必要なもので、一般的に木材を指します。

東京・世田谷区マンションリノベーション現場レポート~ステンレスフレームキッチンが納まるまで~写真4

東京・世田谷区マンションリノベーション現場レポート~ステンレスフレームキッチンが納まるまで~写真5

このように12ミリ程度のベニヤ板を壁の中に仕込んでおくことで、棚などがしっかりビスで固定できるようになります。

壁が立つ前の作業ですので、もちろん壁の完成後に仕込むことはできません!

「ただ一枚板を仕込むだけでしょ?」

と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、仕上がり(クロス貼り後)面を均一に整えたり、もしくは下地を組むときに木材(一般的に「垂木(たるき)」という木材を使って枠を組みます)の位置を調整してビスを打つ時にちょうどそこに来るようにしたり、事前の計画があってはじめて下地の意味を成します。

これも図で説明すると、

東京・世田谷区マンションリノベーション現場レポート~ステンレスフレームキッチンが納まるまで~写真6

このようにモノを固定するための下準備ということです。
(画像の赤いしるしのところがビス止め用の下地が必要なところ)

例えばトイレットペーパーのホルダー1つでも、先にお打合せをしておかないと、後々取り付けたい場所に取り付けることができないという可能性も出てきます。
そのため事前に場所だけでも決めておくことをお勧めします。

何を付けるかは後々でも問題ありません。
最初の「解体前に全て決まっているわけではない」の理由が、正にこれにあたるわけですね。

大工さんによる「仕上げ工事」

そこからはどんどん大工さんによる造作工事に入っていきます。
壁を貼っていったり、ドア枠(建具枠とも言います)を取り付けていったりします。
壁の材は一般的には石膏ボードという板を貼っていきます。
これは不燃の材料になっており、燃えにくい建材です!

東京・世田谷区マンションリノベーション現場レポート~ステンレスフレームキッチンが納まるまで~写真7

こちらの写真は別の現場ですが、まさにボード貼りを行う瞬間の職人さん。
真剣な様子が伝わってきます!

枠のほうでは、建具に歪みはないか、まっすぐ建てられるかなど、こちらも「職人さんの腕」が鍵になってきます。

そこで施工管理として気を付けることは、建具の立ち方(床から垂直に立っているか)はもちろんのこと「散り」が出るかなど細かいところに着目していきます。

散りってなんだ?
とあまり聞きなれない言葉ですが、「散り」とは部材同士の接合部分にできる小さな段差のことで、建具の枠などを壁より少し出っ張ったつくりにすることで自然に見せる仕上がりのことです。
私たちの生活空間では当たり前にあるものなので、正直目につくこともありません。

言葉では説明が難しいですね。
図に表すとこのようになります。

東京・世田谷区マンションリノベーション現場レポート~ステンレスフレームキッチンが納まるまで~写真8 (1)

どこからが建具の枠なのか、どこまでが壁なのかといった境目にもなります。

お部屋を見渡していただくとわかると思うのですが、材質が全く違う壁紙と建具枠がどこまでも平坦のまま部屋全体が仕上がっている、というお部屋はなかなかありませんね。
そこに小さな段差をつけて違いを出す仕上がりのことを「散り」というわけです。

新築住宅ならまだしも既存の間取り、壁面をうまく取り合っていくリノベーションではここの取り合いがうまくいかないことも多々あります。

解体した後、実際に建具をはめるとき、その時まで取り合いがわからないことも多々あります。
それらをいち早く察知することで、うまく納まるように回避することも、現場監督として考える醍醐味かと思います。

実際の分かりやすい「散り」の例として、バスルーム入り口部分で見るとこのようになります。

東京・世田谷区マンションリノベーション現場レポート~ステンレスフレームキッチンが納まるまで~写真8

バスルーム開口部の赤線で囲っているところが建具枠です。
数ミリですが枠が飛び出ていますね。
これが「散り」です。

実際には目にはつきにくい細かい納まりのところではありますが、この記事を見て「お~そういうことまでこだわっているのか」と思った方は、実際に家の中の納まりを見てみるのも面白いかもしれませんね。

洗面スペースの「見切り材」で整えた箇所もご紹介

「散り」の話が出たので、もうひとつ今回のマンションリノベーションで特徴的だったポイントに触れておきます。

今回の事例では洗面室をフルリニューアルしたのですが、洗面台の下に配管が来ており、それを隠すために床を高くして段差を設け、配管を隠すという施工を行いました。

東京・世田谷区マンションリノベーション現場レポート~ステンレスフレームキッチンが納まるまで~写真9

この場合、配管下の段差を横に走っている一本の木材が「見切り」となります。

見切りは工事現場ではとても一般的な方法なので、玄関と廊下の境界、キッチンのタイルスペースとリビングの床材の境界など、様々な箇所で使われています。

こちらは玄関を金物の見切り材で整えた事例です。
ゴールドの帯状の部材で床が蓋されるような感じになっていますね。
もちろん、この見切り材の高さが床の高さより短かったりすると、断面がはみ出してしまい不恰好になってしまいます。

ということは、見切り材は見切りたい箇所よりも勝っていなくてはなりません。
こうやって、見切り材が勝つ=上にくるようにつけることで先ほど紹介した「散り」が生まれ、ごく当たり前の見栄えにもなります。

最終仕上げ!「器具付け」

ここまで進んだ後は石膏ボードの上に壁紙を貼り、床にフローリングを施工し、最後に最終の器具付け(上述の「下地」を施した箇所ですね)を行い、ハウスクリーニング後に晴れてお引渡しです。

普段当たり前に見ている納まりもなかったらとても違和感です。
その「普通の見栄え」が当たり前に存在すること。
施工する側としてはとても気を付けなければいけないポイントなのです。

本日はここまでですが、大事なのは「暮らしの中で必要不可欠になってくることを予想して先に提供していく」ということです。

・ここに下地があったら後で何かつけたいというときも対応できるな。
・コンセントは料理する時にもう一つ必要ではないかな?

といったことを考えながら施工することで、実際にお客様とお会いする機会は少ないですが何か提供できることを見つけることができます。

小さな工夫の積み重ねで少しでも住み心地のよい空間を提供できるように日々奮闘しています。

この記事をご覧になって、ちょっとでもリノベーションに興味を持って頂ければ幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
 
 

【今回ご紹介した施工事例の完成写真はこちらでご覧いただけます!】

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