築100年。長い歳月を家族とともに過ごし、代々受け継がれてきた古民家です。お母様がひとりで住まわれていましたが、息子様ご家族との同居の検討をきっかけにリノベーションを決断されました。
新たな世代が加わった生活がスタートするため、古き良き面影を残しつつ、現代の暮らしに寄り添う空間を目指しました。

約1世紀の歴史を持つこの家には、魅力的な古材が数多く残されており、生まれ変わった家でもできる限り活かせるように計画を進めていきました。

旧家の和室の書院障子と透かし彫り欄間は、室内をゆるやかに区切る室内窓として再生しました。外からの光を透かしながら家族の気配をつなぎ、往時の趣を語ります。元々2階の部屋の壁材として使われていたクラッシックリブパネルも、きれいに取り外して、キッチン腰壁に転用しました。
また、リビングの格子も元々は天井材で使用されていた桜の木を流用しました。

丸太梁を現しにした勾配天井は古材の重厚さと大空間の開放感を両立しています。
縁側には石目調のフロアタイルを敷き、インナーバルコニーとして外を眺めながら、ゆったりとくつろげる心地よい空間に仕上げました。
世代を超えて住み継がれ、所々に旧家の記憶が散りばめられ、伝統とモダンを融和させた新たな住まいへと生まれ変わりました。
積み重ねた記憶が生き続けるこの家は、姿を変えながらも、この先も家族の未来を見守っていくでしょう。

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