そうだ、あの人に住まいのコトバを聞こう。

対談インタビュー 『住まコト』 Vol.1 藤田雄介さん


DSC_4908_00009+ ▲ 建具「戸戸(コト)」の「木のドアノブ」。

3 ご自身のリノベーション(デザイン・テイスト・こだわり)の特徴を挙げるとしたら?

―リノベーションは大手住宅メーカーの参入しづらい世界というお話がありました。ただ今回のパッケージ化はある意味、大手が得意とする「型にはめる」ことでもあると思うのですが。

藤田さん:最近のリノベーション会社がやる間取りの流行で、大きなワンルームにリビング・ダイニングをつくって、アイランドキッチンみたいなのが多く見られると思うんですけれど、みんながみんな、こういう開放的な住宅を求めてるの? と疑問に感じる部分があるんです。と同時に、リノベーションが、スタイル化しているんじゃないかと感じるんです。

―たしかに。リノベーションって自由なハズなのに「お決まり化してない?」という問いに近いものでしょうか?

藤田:そうですね。そうなると結局建売住宅と同じようなものになり、リノベーション自体も一過性のブームになってしまう危険性があります。そのような状況に対して、建具を用いて空間を緩やかに分節したリノベーションを提案しています。

DSC_4906_00007++ ▲ 基本は、藤田さんが過去に使用した信頼のおける素材から選んでゆき、迷った場合はサンプルで比較検討するというプロセスで決めていった。

―ただ広い空間があるより、仕切りのあるほうが場所に多様性が生まれるということですか?

藤田さん:そうですね、やはりだだっ広いワンルームは、誰でも上手く使いこなせる訳ではないと思います。また、仕切ることで中間的な場が多くなることも重要です。

例えばマンションだとサッシは共用部なので、勝手に交換するのは難しい場合が多い。そのためサッシはそのままで、サンルームなど内と外の中間領域を設けることで、そこが断熱層となり室内の暖房不可を低減することができます。今回のパッケージでも、建具を用いた中間領域をつくるアイデアを沢山用意しています。

―建具っていろいろな使い方ができますものね。それこそ仕切りになったり、インテリアでもあったり。そういう理念が「戸戸」の商品開発化のきっかけになっているのでしょうか?

藤田さん:いや、最初はとくに商品化などは考えていませんでした。初めは、設計していく中で、その住まいに合った建具を考えて、造作していただけだったんです。それがだんだんと増えていって、自然と形づくられていったものをふと振り返ってみたときに、「今までの建具をまとめて、名前をつけたらどうだろう?」ということに気づいて、TOOL BOXさんなどの協力も得ながら、現在の形にまでなっています。

―とても自然なところから生み出されたものなんですね。建具の持っている可能性を引き出しながら、新しいリノベーションの本質に近づくという両義性が「建具」に象徴されていますよね。

藤田さん:うん。やはりマンションリノベーションだととくに効いてくるんですよね。限られた空間をいかに仕切るかが重要になってくるので。ただ壁をつくると狭くなるし、自由度が下がってしまう。

澤田:うちはデザイン的な特徴はこれといってないかもしれないけれど、お客様の要望を全力で叶えるというところは一番大事にしている。Cuestudioはもともと始まりは賃貸物件が大多数のリノベーションブランドだったので、築ウン十年の賃貸物件をなるべくコストを抑えて再生するというのが優先事項だった。
個人のお宅のリノベーションをお任せいただくようになった現在でも、お施主様のご要望そのままをでき得る限り応えていくというところの姿勢は変えずにやっていくつもり。藤田くんのような建築家と違う点は、ワンストップリノベーションのように、自社仲介、自社設計、自社施工という風に、不動産流通から一貫して関わることができるというところが特徴なのかな。

▲ Campdesignのオフィスにて打合せを行う。

―オリジナリティが重要である建築家と、普遍化のCuestudio。本来は相容れない関係ということなのでしょうか?

藤田さん:それもちがいます。戦後の住宅の歴史を見ても、昔のプレハブ住宅とかは建築家がやっていたしね。団地などの大型住居を任されるのが花形だった時代もあるので。

澤田:そうなんだ。言われてみればそうか。

藤田さん:団地の黎明期を支えていたのはいまでは巨匠と言われている建築家だったんだよね。初期の団地にはけっこう名作がある。前川さん(前川國男氏/建築家)とか坂倉さん(坂倉準三氏/建築家)とか。

戦後日本の人口が劇的に増えて、住宅供給を急ピッチで進めていく必要に迫られて。いわば団地が「最先端」だったわけだよね。と同時に、日本人の家族形態の変化や生活のレベルに合わせて、間取りも様相も変わってきた。その中で“モデルプランの雛形”をつくった先人たちの力や、それがマスに広がっていく力は、やっぱりすごいこと。当たり前だけど、そこに暮らす人が暮らしやすいと感じることが一番大事なことだと思う。

僕もさまざまな設計をしてきているけれど、人生であと何戸の住宅を手がけられるかみたいなところもあって。「せいぜい……」という数では、世の中の住環境は変わらないから。ふつうだったら建具を流通させたり今回のような企画はやらないのかもしれないけれど、直接関われない住宅にも少しでも関わっていける部分があるなら、僕の理念みたいなのはそこで十分感じてもらうことはできるんじゃないかと思っています。

そういう意味では、自分の理念をどう広げていくかということはやっぱり常に考えていますよ。かつての宮脇さん(宮脇檀/建築家・エッセイスト)とか中村さん(中村 好文/建築家)のように、「キッチンとはこうあるべし!」みたいに、住宅の在り方や考え方を広く伝えていくっていう方法もある。

でも以前と現在で大きく違うのは、インターネット上で簡単に多くの人へ広げられるようになったこと。建築家がプロジェクトでつくったものを、そのまま売ることができる。それが別のプロジェクトで使われたりとか、普及の仕方がちがってきている。

だからCuestudioがやっているリノベーションの中に、自分の家づくりのテーマが伝わって、少しでも普及してくれるなら本望ですね。さっきの「団地黎明期の名作」みたいに。

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